仕事も家庭も一段落したはずなのに、なんだか不安。虚無感を感じる。
それはきっと俗にいうミッドライフクライシスかもしれません。
ミッドライフクライシスは誰にでも起こりえる心の揺らぎですが、放置しておくと人生を大きく狂わせるリスクがあります。
しかし、5分のウォーキングから運動を始めることでミッドライフクライシスを乗り越えて更に成長するチャンスにつながります。
本記事ではミッドライフクライシスのリスク、そしてランニングがミッドライフクライシスに効果的な理由を実体験を通じて解説します。
まずはウォーキングからでもいいので、小さくはじめてミッドライフクライシスを乗り越えていきましょう。
執筆者紹介
- 40代、妻と3人に子どもをもつ会社員ランナー
- ラン歴3年目でフルマラソンには2回出場(自己ベスト:4時間37分20秒)
- 学生時代は小学校のサッカー部以外に運動部の経験は無し
ランナーとしてはまだまだ初心者だからこそ、これからはじめる人に寄り添った発信ができると思います。
本サイトのミッションは、このサイトを通じてたくさんの方に楽に楽しくランニングはじめてもらうこと。ランニングをはじめた方はぜひコメント欄から「ランニングはじめました」の一言でいいので、教えていただけると嬉しいです!
そのモヤモヤはもしかしたら「ミッドライフクライシス」?

ミッドライフクライシスの定義と年齢帯
「ミッドライフクライシス(中年の危機)」とは、人生の中間期(主に40~50代)に訪れる心理的な混乱や葛藤のこと。1965年に心理学者エリオット・ジャックが提唱した概念で、自分のアイデンティティや人生の目的を改めて問い直す時期とされています。
多くの場合40代から50代にかけて経験され、人生の折り返し地点を過ぎた頃に
このままでいいのだろうか
という不安や迷いが生じます。
ミッドライフクライシスの症状例
ミッドライフクライシスでは様々な心の不調や行動の変化が現れます。
自己評価の低下
代表的な症状としては、自己評価の低下(自分に自信が持てない)、将来への漠然とした不安、過去の選択への後悔などが挙げられます。
また人生の意味や目的への疑問が湧き、「自分は何も成し遂げていないのでは?」という思いに囚われることもあります。気力が低下し、憂うつな気分に陥ったり、うつ病に発展するケースも。
衝動的な行動
行動面では、衝動的な行動が増える傾向があります。例えば「今しかない」と焦って急に会社を辞めてしまったり、十分な準備もないまま起業・投資に走るなど、人生を一変させようとする極端な行動に出ることがあります。
趣味を楽しめない
以前は熱中していた趣味や楽しみへの興味喪失も見られます。
「若い頃は何にでものめり込めたのに、今は何をしても心から楽しめない」。何をやっても虚しさを感じてしまいます。
孤独感を感じる
孤独感・孤立感を感じるのもミッドライフクライシスの症状の一つです。悩みを相談できる相手がいないと感じたり、社会から取り残されたような寂しさを覚える人もいます。
以上のような精神的(気分の落ち込み、不安、虚無感など)・行動的(焦燥的な決断、興味の消失など)症状が複合的に現れたら、ミッドライフクライシスの可能性が高いでしょう。
ミッドライフクライシスを放置するリスク
このようなモヤモヤを放置すると、心身に深刻な影響を及ぼす恐れがあります。中年期の長引く不安と葛藤は臨床的なうつ病を引き起こすことがあるため、適切なケアが必要です。
実際、日本の気分障害(主にうつ病)患者数は40代~50代で大きく増加しており、2011年には約96万人中の36%だった中年層患者の割合が、2020年には約172万人中の43%にまで上昇しています(参考:中高年のメンタル不調に注意!8割が経験「ミッドライフ・クライシス」って?要因と対策)。
この年代で鬱症状が顕著に増えていることは、ミッドライフクライシスの悩みを抱え込んだ結果として精神疾患に発展してしまうケースが少なくないことを示唆しています。うつ病のみならず、
- キャリアへのダメージ
- 財産を大きく失う決断
- 人間関係の悪化(例えば家庭内不和や離婚)
- 高血圧や心疾患など身体的な健康悪化
に繋がるリスクも考えられます。
中年の危機そのものは誰にでも起こり得る自然な心の揺らぎですが、「大丈夫だろう」と放っておくことは危険です。心身の異変に早めに気づき、対策を講じることが大切だと専門家も指摘しています。
ミッドライフクライシスを引き起こす5つの要因

ミッドライフクライシスに陥る背景には、人それぞれ異なる複数の要因が複雑に絡み合っています。主に以下の5つが代表的な引き金です。
キャリア停滞と役割変化
40代以降になると、仕事で昇進の頭打ちを感じたり、若手の台頭で自分の存在価値に悩むケースが増えます。
「このまま定年まで今の仕事を続けて良いのか?」という葛藤や、逆に管理職として期待されるプレッシャーもあります。ある50代男性は「同年代の同僚が活躍しているのを見ると焦り、相手の年齢を確認して自分と比べてしまう」と語っています。このようにキャリアの停滞感や先行きへの不安が、中年期のアイデンティティ危機を招きます。
また、家庭や社会における自分の役割の変化も影響します。子どもが成長して親としての役目が薄れたり、長年勤めた会社を退職して肩書きを失うと、自己の存在意義が揺らぎがちです。
心理学的にも、中年期は「生産性 vs. 停滞(Generativity vs. Stagnation)」の時期とされ、他者や次世代に貢献できないと停滞感や空虚感を抱えやすいと指摘されています。
キャリア面での行き詰まりと役割喪失が重なると、自信喪失や焦燥感が強まり、中年の危機を深刻化させる要因となります。
家族イベント
家庭における大きな出来事も、中年の心を揺るがします。代表的なのが子育ての一段落と夫婦関係の変化です。
子どもが大学進学や就職で家を離れると、親としての役割が急になくなり「空の巣症候群」と呼ばれる強い喪失感・孤独感に襲われることがあります。
特に母親は子育てに費やしてきた時間とエネルギーが減り、「これから何をしたらいいのかわからない」と感じやすくなります。
一方で夫婦だけの生活に戻った際、それまで見えていなかった溝が浮き彫りになることもあります。中年離婚という言葉があるように、50代前後で長年連れ添った夫婦がすれ違いを起こすケースも少なくありません。
また親世代の高齢化に伴い、親の介護問題が降りかかるのもこの時期です。
介護による肉体的・精神的負担が、自分の人生の余裕を奪い葛藤を深める原因になります。さらに40~50代は、自身や配偶者の両親との死別を経験することも多い年代です。「身の回りで亡くなる人が増えて落ち込む」といった声もあり、こうした家族・身内の喪失が人生観に大きな影響を与えます。そして独身の場合は「このまま一人で歳をとって大丈夫か」という将来不安が募りがちです。
以上のような家族に関するイベントが連鎖すると、心の負荷が高まりミッドライフクライシスを誘発しやすくなります。
身体的/ホルモン変化
加齢に伴う体の変化も見逃せない要因です。40代半ばを過ぎると「最近疲れが取れにくい」「昔より体力が落ちた」と感じることが増えます。
実際、40~50代では筋力や持久力の低下を自覚する人が多く、ホルモンバランスの乱れから睡眠の質低下や食欲の変化が現れることもあります。男性は加齢とともにテストステロン(男性ホルモン)が徐々に減少し、やる気や集中力の低下、イライラ感など「男性更年期」の症状が出ることがあります。
一方、女性は平均50歳前後で閉経を迎え、エストロゲン減少に伴う更年期障害(ほてり、不眠、気分の落ち込み等)に悩まされることが少なくありません。
このようなホルモンの急激な変化は心にも影響を及ぼし、不安定さを増す一因となります。
また、外見の変化(白髪やしわ、体型の崩れなど)にショックを受け、「老い」を意識し始める時期でもあります。
実際、女性の場合「鏡に映る自分が昔と違う」と感じることが自己肯定感の低下に繋がる例もあります。こうした身体的な衰えの実感やホルモン環境の激変が、中年期の心理に影を落とし、「もう若くないのだ」という喪失感や不安を引き起こすのです。健康診断で初めて生活習慣病予備群を指摘されるなど、健康不安が芽生えるのもこの頃であり、自身の体の変化はミッドライフクライシスの重要な要因と言えます。
経済・老後不安
社会的責任が増す一方で、自分の将来設計に不安を抱き始めるのも40~50代です。特に経済面や老後の生活への心配は、多くの中年層に共通するテーマでしょう。
子どもの教育費や住宅ローンなど支出がピークを迎える中、「このままの収入で老後までやっていけるのか?」と漠然とした不安に駆られることがあります。実際の調査でも、40代の約8~9割が老後の生活資金に不安を感じているとの結果が出ています。
少子高齢化により公的年金の先細りが報じられる中、現役世代の不安感は年々高まっており、「定年後の人生が長いのに資金の備えが十分ではない」という焦りを覚える人も少なくありません。
また企業の早期退職募集やリストラのニュースに触れるたび、自分の職の安定に対する不安が増幅するケースもあります。さらに中年期は親の介護や子の自立支援など、家族のための出費も重なりやすく、自分自身の貯蓄計画が思うように進まないストレスも募りがちです。こうしたお金や老後に対する漠然とした不安は、日々の生活への充実感を損ない、中年の心理的危機を深める土壌となります。
将来への安心感が持てない状況では、「この先に希望が持てない」と感じやすく、それが自己の存在意義や人生の意味を見失うきっかけにもなってしまいます。
価値観の揺らぎ
中年期は人生観・価値観そのものが揺らぐ転機でもあります。若い頃には一直線だった信念や目標が、「本当に自分の望んだ人生だったのか?」と問い直される時期です。
心理学者ユングは中年期を自己の内面と向き合う“変容の機会”と位置づけました、まさにこの時期、自己の存在価値や人生の目的への根源的な疑問が生じます。
例えば、「仕事一筋で来たけれど、本当は家族との時間をもっと大切にすべきだったのでは?」とか、「夢だった独立をしないまま歳を重ねてしまった」といった後悔が噴出することがあります。また、同年代の友人知人と自分を比較して焦燥感を覚え、「自分だけ何も成し遂げていないのでは」と落ち込むケースも見られます。
さらには死の意識も価値観を揺さぶる大きな要因です。親世代や著名人の訃報に接し、自分の人生にも限りがあることを実感すると、「残された時間で何ができるのか?」と急に不安になることがあります。ある精神科医は「人生の残り時間が見えてくる中で焦りや不安が募り…ミッドライフ・クライシスというメンタルヘルス上の課題がやってくる」と述べています。
人生観の揺らぎは時に「今からでも遅くない何か大きな変革を」と衝動的な行動へ駆り立てる一方で、何をしても満たされない虚無感に陥らせることもあります。要するに、中年期は価値観の再構築期とも言えます。それまで信じてきた生き方に疑問符が付き、心の軸が不安定になることでミッドライフクライシスが引き起こされるのです。
ランニングがミッドライフクライシスに効果的な5つの理由

どうやら40代は精神的にも不安定になる時期であることが分かっていただけたと思います。
そんなミッドライフクライシスに対して、ランニングはとても効果的です。
心の危機に対して「走ること」が有効なの?
一見不思議に思うかもしれません。
しかしランニングには中年のメンタルを支える科学的な効果が数多く報告されています。ここではランニングがミッドライフクライシス克服につながる主な5つのメカニズムを解説します。
エンドルフィン&セロトニン分泌で気分が上向く
ランニングなどの有酸素運動をすると脳内でエンドルフィンやセロトニンといった物質が分泌され、ストレス緩和や気分高揚につながることが知られています。
エンドルフィンは「脳内麻薬」とも呼ばれる鎮痛・多幸感物質で、ランニング中に訪れる爽快な気分(いわゆる“ランナーズハイ”)の原因です。
またセロトニンは心の安定や幸福感に関与する神経伝達物質で、運動により分泌が促されます。
厚生労働省も有酸素運動はうつや不安の症状を軽減すると公式に認めており(参考:健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023)、気分転換として運動を取り入れることはメンタルヘルス対策の基本とされています。
特に朝の時間帯に外で走ると、朝日を浴びることもセロトニン活性化にプラスに働きます。
ミッドライフクライシスで落ち込みがちな時こそ、軽いジョギングで汗を流すことで脳内を「ハッピー物質」で満たし、暗い気分のループから抜け出す一歩となるでしょう。
「走った後はなんだかスッキリする」というのは科学的にも裏付けされていること。モヤモヤするときは走るだけで気分爽快になれます。
自己効力感がキャリア停滞感を打ち破る
ミッドライフクライシスでは「自分にはもう何も成し遂げられないのでは」という無力感がしばしば問題となります。ランニングはこの無力感を払拭し、自己効力感(自分はやればできるという感覚)を高めてくれます。
例えば「最初は1kmも走れなかったのに、今週は3km走れた!」という小さな成功体験の積み重ねが、自信を回復させてくれます。研究でも、中年の健康な成人において運動習慣がある人ほど自己評価(セルフエスティーム)が高いことが報告されています。
運動で体力が向上し、タイムが縮まったり距離が延びたりすると、「努力すれば成果が出る」という実感が得られます。この実感は仕事や他の目標にも好循環を生み、「自分は変化を起こせる」というポジティブな自己効力感につながります。
キャリア面で停滞感を抱えている人ほど、ランニングのような継続的努力が結果に結びつく活動は大きな意味を持ちます。
週ごとに達成距離を伸ばしたり大会完走を目標にしたりする中で、「年齢に関係なく成長できるんだ」と実感でき喜びにつながります。そうした成功体験の積み重ねが、停滞したキャリア観を打破し「まだ伸びしろがある」「新しい挑戦もできるかも」という前向きな気持ちを取り戻す手助けとなるのです。
体組成改善→自己肯定感アップ
定期的に走ることで体重や体脂肪が減少し、筋肉が増えるなど体つきに変化が現れます。中年期に気になりがちなお腹周りの脂肪がスッキリ落ちてくると、見た目の印象も若々しくなり、それがそのまま自己肯定感の向上につながります。
実際、ランニングのような有酸素運動と適切な食生活を続ければ、内臓脂肪の減少や血圧・血糖の改善が見込まれ、健康診断の数値が良くなるケースも多いです。
医学的にも「運動を習慣化すると身体イメージ(ボディイメージ)が向上し、自尊心が高まる」ことが示されています。
たとえ体重そのものが大きく減らなくても、
体が引き締まった
スーツが以前より似合うようになった
と感じれば心は前向きになります。加齢による外見変化に悩んでいた人がランニングを契機にお洒落に再び関心を持つようになる例もあります。
こうしたフィジカルの変化が中年期のネガティブ思考を和らげ、「まだまだ自分は変われる」というセルフイメージの刷新につながります。
太ってお腹が出ているよりも、細見でスッキリした見た目の方がかっこいいし自信につながります。
ミッドライフクライシスで自己否定的になっていた心にも、「やればできるし、実際体も良くなっているじゃないか」という肯定材料を提供してくれるのがランニングなのです。
朝ランで概日リズムをリセット、睡眠の質向上
不安感やホルモン変化で睡眠の質が落ちている中年世代にも、ランニングは強い味方です。特に朝のランニングには乱れた体内時計(概日リズム)を整える効果があります。朝にしっかり身体を動かし光を浴びることで、夜には自然と眠気を誘うホルモン(メラトニン)の分泌がスムーズになります。
実際、「毎朝30分のランニングを3週間続けたら睡眠の質が向上した」という研究報告もあり、定期的な有酸素運動は入眠をスムーズにし熟睡感を高めるとされています。
ミッドライフクライシス期には悩みで夜中に目が冴えてしまったり、明け方に不安が募って早朝覚醒するケースも多いですが、朝ランを生活に取り入れることでこうした睡眠リズムの乱れを改善できる可能性があります。
また朝走ることで一日の活力スイッチが入り、日中の活動エネルギーが増すメリットもあります。睡眠が深くなると日中の集中力や気分も安定し、悪循環から抜け出しやすくなります。
さらに朝ランは習慣化しやすい利点もあります。仕事や家事に追われる日中・夜間より邪魔が入りにくく、決まった時間に走ることで体内時計も整いやすいのです。
夜ぐっすり眠れて朝スッキリ目覚めるリズムを取り戻せれば、心の不調も自然と軽減されていくでしょう。専門家も「朝の運動はコルチゾール(ストレスホルモン)の分泌を適正化し、睡眠の質向上に寄与する」と指摘しています。
眠れない夜を過ごしている中年の方こそ、明日の朝少し早起きして走ってみる価値があると言えます。
コミュニティ効果で“孤立感”を解消
ランニングは一人でできるスポーツですが、実は仲間作りにもつながります。ランニングクラブや市民マラソン大会などに参加すれば、年代や職種を超えた様々な人との交流が生まれます。ミッドライフクライシスで陥りがちな「自分だけが孤独」という感覚も、同じ趣味を持つ仲間とのつながりによって薄れていきます。
研究でも、スポーツや運動グループに所属することはうつ病予防に効果があると報告されています。これは、そうしたグループがメンバーにとって社会的サポートの役割を果たし、孤立を防ぐからだと考えられています。
実際、週末のランニングサークルに参加することで「会社以外の知り合いができて視野が広がった」「練習会で悩みを話したら皆に励まされ救われた」というケースもあります。ランナー同士はタイムや距離を共有しあうだけでなく、お互いの健康や日常生活にも関心を寄せ合う傾向があり、ゆるやかなコミュニティが形成されます。これはまさに中年期に必要な「居場所」と言えます。
また、昨今はSNSやアプリでランニングの記録を共有できるサービス(StravaやNike Run Clubなど)も充実しており、オンライン上でも励まし合える環境があります。誰かに「がんばってますね」「一緒に大会出ましょう!」と言ってもらえるだけで、孤独感は大きく和らぎます。
SNSで走っている人の投稿を見ると、親近感が湧いてきます!
ミッドライフクライシスに陥った人ほど、こうしたランニングコミュニティを活用する価値があります。一人ではないと実感できること、そして体を動かしながらポジティブな仲間と時間を共有できることが、心の安定に良い影響を与えます。
日本の厚生労働省は2023年に「健康づくりのための身体活動・運動ガイド」を改訂し、国民に推奨する運動量を示しました。それによると、18~64歳の成人は1日60分以上の中強度(息が弾む程度)の身体活動を行うことを推奨しています。
これは歩行で言えば約8,000歩に相当し、週単位では約23メッツ・時(METs・hour)の運動量になります。加えて、週に2~3日は筋力トレーニングを取り入れることや、長時間座りっぱなしにならないよう注意することも推奨項目に盛り込まれました。
ガイドライン策定の背景には近年の研究蓄積があり、身体活動は生活習慣病予防だけでなくメンタルヘルスにも有益である点が強調されています。WHOのガイドラインを引用する形で、「定期的な運動によってうつや不安の症状が軽減され、思考力、学習力、総合的な幸福感を高められる」と報告されています。
つまり国レベルで、運動がメンタル面に良い効果をもたらすことが認められているのです。厚労省は特に「働き盛り世代こそ運動不足に注意」としており、忙しい中年層に向けて隙間時間での身体活動(階段利用や通勤ウォークなど)も奨励しています。
まずは日常でなるべく歩く・体を動かす習慣をつけ、その上で週数回のジョギングなどを取り入れるのが望ましいとされます。これら公的ガイドラインは、ランニングの継続が中年の心身にとって「投資効果」の高い行動であることを裏付けています。
今日から始める!4週間ビギナー朝ランプラン

よし、走ってみよう!
と思っても、いきなり無理をするとケガに繋がります。
ここでは運動習慣のない初心者でも無理なく取り組める4週間の朝ランプランを提案します。
少しずつ走力をつけていき、1か月後には30分連続ジョギングを目指しましょう。朝ランの爽快感を味わいつつ、生活リズムに組み込んでいくプランです。
朝時間を取るのが難しい方は夜でもいいので、きつくない運動習慣をはじめてみましょう!
Week 1:5分ウォーク+1分ジョグから
最初の1週間は「歩くのメイン、時々ゆっくり走る」くらいの気持ちでOKです。具体的には5分間の早歩き+1分間のスロージョグを1セットとし、これを数回繰り返します。例えば朝起きて準備運動をしたら、近所を5分間やや速めに歩きます。
心拍が少し上がってきたら1分だけ軽くジョギング。息が上がりすぎないペースでゆっくり走りましょう。1分経ったらまた5分歩いて呼吸を整えます。
この「5分歩・1分走」を最初は3セット(合計18分)ほど試みてください。時間に余裕があれば4~5セットまで増やしても構いません。
ポイントは「走る部分を短く区切る」ことで、初心者でも苦しさを感じにくくすることです。走る時は無理に長い距離を進もうとせず、軽い足運びを意識しましょう。
1週間かけて少しずつセット数を増やしたり、歩くペースを上げたりして、自分の体が運動に慣れるのを感じてください。「走るとこんなに息が切れるのか…」と最初は驚くかもしれませんが、大丈夫、誰でも最初は同じです。Week1はとにかく朝体を動かす習慣づくりと割り切り、気持ちよく汗ばむ程度を目標に取り組みましょう。
5分歩く、1分走るのも目安であって正確に測るのが手間であれば測らなくてもいいと思います。目的は体を動かす習慣になれること。手間になることはなるべく排除し、とにかく楽に気持ちよく体を動かす習慣を作ることになれていきましょう。
Week 2:合計15分ジョグへ拡張
2週目は走る時間を少し延ばしてみます。
1セットあたりの「歩き5分+ジョグ1分」は維持しつつ、全体で走る合計時間を15分程度に持っていくイメージです。例えば「5分歩+1分走」を5セット行えば、走る部分は合計5分間になります。
これを毎回+1セット増やすなどして、週の終わりには「5分歩+1分走」を10セット=走る部分合計10分にチャレンジしてみましょう。あるいは、慣れてきたらジョグの時間を1分→2分に伸ばしてみる方法もあります(「歩5+走2」を5セットで走行合計10分)。自分の調子を見ながら、走る総量をじわじわ増やしてください。
Week2のゴールイメージは「歩きながらでいいから合計15分は走れた!」という達成感を得ることです。走るペースはWeek1同様ゆっくりで構いません。呼吸が苦しくなったら無理せず歩きに切り替えましょう。
重要なのは「前週より走る割合が増えた」ことを自覚することです。例えば月曜日に3セットだったのが金曜日に6セットできたなら大進歩です。この頃になると朝ラン後の爽快感や、日中の活力アップを感じ始める人も多いでしょう。筋肉痛が出た場合はストレッチや休養日を挟みつつ、徐々に体力がついていく過程を楽しんでください。
Week 3:連続20分ジョギングを目指す
3週目は休憩なしで長く走ることに挑戦します。Week2までの歩走インターバルで足と肺が慣れてきたら、思い切って「連続して走る」ことにトライしましょう。
ただし目標は最初から20分通しではなく、まず連続10分ジョグからスタートです。
朝のコースを決め、ゆっくりでいいので10分間止まらずに走ってみます。10分走れたら2~3分歩いて小休止し、呼吸を整えてから再度10分ジョグに挑戦します。これで合計20分走破となり、自信がつくはずです。余裕があれば歩き休憩を徐々に短くし、後半は15分連続→20分連続と伸ばしていきます。
Week3終盤の目標は20分間ノンストップでジョギングすることです。
ペースは相変わらず会話ができる程度のゆるジョグでOK。景色を楽しみながら「自分は20分も走れている!」と前向きな気持ちで走りましょう。
苦しくなったら途中で歩いても構いませんが、できるだけ止まらず足を動かし続けるのがポイントです。20分間走れれば約3km前後の距離になります。これは立派な成果であり、「自分にもランニングなんて無理」と思っていた殻を破る体験となるでしょう。
Week3で連続走の感覚を掴めれば、朝ラン習慣はかなり軌道に乗っています。この週は月水金など隔日実施で疲労を溜めないよう配慮しつつ、ノンストップジョグの達成を実感してください。
Week 4:30分ジョグ&簡単インターバル
最終4週目は30分間連続ジョギングにチャレンジします。Week3で20分走れた延長として+10分、距離にしてプラス1~1.5kmをゆっくり足していくイメージです。
月曜は20分、火曜はお休み、水曜は25分、金曜か土曜に30分…というように段階的に伸ばしましょう。一気に30分走ろうとせず、まず25分走ったら1分歩いて小休止し、残り4分走るといった分割走法でも構いません。
大事なのは合計で30分間動き続けることです。30分連続で走れれば、おおむね5km前後に到達します。早朝の澄んだ空気の中、5km走りきった自分に大きな拍手を送りましょう。
時間に余裕がある方や体力がついてきた方は、週の後半に軽いインターバル走を取り入れても面白いです。例えば30分の中で「ゆっくりジョグ3分+やや速め1分」を繰り返すといった緩急ランニングです。
1分だけ少しペースアップすると心肺機能への刺激になり、走力向上につながります。決して無理なスピードは出さず、「ちょっと息が弾む程度」の快適なインターバルで結構です。これにより単調になりがちなジョグに変化がつき、飽き防止にもなります。
息はあがりますが、風を切って走る感覚はとても爽快。息切れも逆に心地よく感じます。
Week4の終わりには「30分程度なら朝ランできる」という状態になっているでしょう。4週間前には考えられなかった成長です。
ここまで来たら初心者卒業目前。この先は距離を伸ばしたり、スピード練習に挑戦したりと、新たな目標設定も可能です。
まずは1か月間お疲れさまでした、と自分を称えつつ、引き続き朝ラン習慣を維持していきましょう。
きっとこの頃になるとランニングにもはまってきてるはず。ランニングウェアやウォッチなど、もっと楽しく走るためにランニングアイテムを揃えると更にモチベーションもアップします。
ランニングを本格的に続けるにあたって買い揃えたいアイテムはこちらの記事でも紹介してますので、ぜひチェックしてみてください!
ケガを防ぐフォームとストレッチ
初心者ランナーが陥りやすいのがオーバーユース(使いすぎ)による故障です。膝や足首、アキレス腱の痛みを予防するために、正しいフォームとストレッチを意識しましょう。フォームの基本は「楽に、軽やかに」です。
- 背筋を真っ直ぐ伸ばし、肩の力を抜いて腕を自然に振ります。
- 視線はやや遠く前方に向け、体の軸を保ったまま軽い前傾姿勢を取るとスムーズに足が前に出ます。
- 着地の衝撃を和らげるため、膝は軽く曲げてソフトに着地しましょう。足裏全体で着地し、すぐ次の一歩に重心を移すイメージです。
- 歩幅(ストライド)は無理に大きくせず、自分が気持ちよく回転できるピッチを優先します。
- フォームに力みがあると疲労しやすいので、全身リラックスを心がけてください。
楽に走るランニングフォームはこちらの記事でも詳しく解説しています。楽に走れるフォームはとても重要なので、ぜひチェックしてみてください。
走る前後のストレッチも欠かさず行いましょう。
走る前は動的ストレッチ(腕振りや腿上げ、アキレス腱伸ばしなど)で筋肉を温め可動域を広げま。
走った後は静的ストレッチでふくらはぎ、太もも前後、臀部、腰回りを丁寧に伸ばし、筋肉の緊張をほぐします。
ストレッチを取り入れることで筋肉内の血流量が増え、溜まっている疲労物質を素早く除去できるため、ランナーにとって必要不可欠です。
ストレッチについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。楽に走るためやケガを防止するためにもストレッチは重要ですので、ぜひチェックしてみてください。
継続を支えるガジェット&アプリ
せっかく始めた朝ラン習慣を継続するために、デジタルツールもうまく活用しましょう。例えばスマートフォンのランニングアプリ(Nike Run Club、Runtripアプリ、Runkeeperなど)は走行距離やペースを記録してくれるのでモチベーションアップに役立ちます。
走った記録が蓄積されてグラフで見えると、「先月より今月はたくさん走れた!」と達成感を得られますし、SNS感覚で他のランナーと繋がることもできます。
私も毎朝走る前にXで「心と体の健康は運動から。朝ランに行ってきます」と宣言し、戻ったら走った記録をポストするようにしています。
いいねや応援のコメントをもらえるとモチベーションに繋がります。
また、Xのポストでは朝ランの継続日数をカウントするようにしています。カウントすることで、最初は10日とかカウント日数も少ないですが、着々と積みあがっていく日数を見ると嬉しくなってきます。
数年後、1000日とかになってくるときっともうやめるにやめれなくなるので、生涯スポーツとして運動習慣が身につくと思っています。
ランニングウォッチやフィットネストラッカーを使えば、心拍数や消費カロリー、歩数なども自動計測されるため健康管理に便利です。研究によれば、ランニングウォッチのような活動量計を身につけることで人々の平均歩数が1日あたり1,200歩以上増え、週あたり約49分運動時間が延びたとのデータもあります。
ランニングウォッチをつけていると、たまに立つようにうながされたり、あまりにも歩数が少ないと「もうちょっと歩こうかな」と思ったりするので、ガジェットの力で運動量が底上げできます。
運動量が少ないかなと気になっている方は、まずランニングウォッチを買ってみるのもおすすめです。私も愛用しているHUAWEI Band 10は7000円くらいで購入できて、機能も十分。運動不足の運動から本格的なランニングまで対応できます。こちらの記事で詳しく紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。

また音楽やポッドキャスト、オーディブルでの聴く読書も継続の助けになります。お気に入りの音楽をプレイリストにして走れば、気分良くランニングを楽しむことができます。
オーディオブックを聴きながら走れば、体も頭も鍛えることができて一石二鳥。私もランニング中にオーディブルを愛用しています。「読書の習慣も身に着けたいんだよなぁ」という方は『ランニング×オーディブル』に挑戦してみてはどうでしょうか?
『ランニング×オーディブル』についてはこちらで詳しく解説しています。
さらにランニング用のクッション性に優れたシューズや、冬の朝に備えた防寒ウェアなどギアへの投資で快適性もアップします。膝や足首に不安がある方はインソールやサポーターを活用すると良いでしょう。
最後に、人によってはご褒美設定も効果的です。例えば「100km走破したらマッサージに行く」「週4回走れたらビールを一杯」など、自分なりのインセンティブがあるとやる気にもつながります。ガジェットやアプリの活用で朝ランを日々の生活の一部に取り入れていきましょう!
ランニングでミッドライフクライシスも乗り越えられる自信


最後に、参考までに筆者自身の体験を共有します。私は40代でランニングを始めて3年になりますが、そのBefore→Afterで心身に大きな変化がありました。同世代の一例としてご覧ください。
ランニングを通じて40代から実感する成長
筆者は40歳の時に健康診断で体重増加と脂肪肝を指摘されたのを機に、一念発起でランニングを開始。
最初は2km走るのがやっとでしたが、徐々に走行距離を伸ばしていきました。
習慣化して安定して走れるようになった頃に「朝ラン気持ちいいですよ」と周囲の人におすすめするうちに朝ランキャラに。
最初は走り方もペースも何も調べようとせず、ゼーハー苦しみながら1年以上走り続けました。会社の駅伝大会で全く歯が立たなかったことをきっかけに、走り方を全然学んでいなかったことに気づきYoutubeでランニングを学び始めます。Youtubeで学ぶうちにランニングの楽しさにはまっていき、2年目でフルマラソンに挑戦。結果はグロスタイムで4時間37分ながら無事完走できました。
ランニング中のオーディブルのおかげもあり、耳の空いている時間はYoutube視聴ばかりでしたが、聴く読書も趣味になりました。
生活は一変して体力も知識も40代で大きく成長を続けていると実感しています。
ランニングでミッドライフクライシスも怖くない!
走り始める前、平日は仕事でヘトヘトになりながら、毎日会社と家を往復するだけ。家でも空いている時間はYoutubeやゲームに費やしていました。しかし今では平日も朝ラン、聴く読書、その後朝活でブログ作業と平日にも自分の時間を作り出せるようになっています。
フルマラソンに出場するほど体力も付き、平日の仕事も残業が多くても飲み会があっても疲れにくい。明らかに強く活発に。
週末もゆっくり寝るなんてことは必要なく、朝から元気。子どもとも公園で元気に遊べますし、走り出す前より家族との時間もより充実していると感じます。
今思うとランニングをはじめる前は仕事のキャリアで行き詰まり、子どもが手を離れ家庭でも会話が減っていきミッドライフクライシスまっしぐらだった人生でした。ランニングという新しい柱が40代からの成長と自信、新しい趣味の世界をプレゼントしてくれました。
もちろん仕事や家庭で悩むことはあると思いますが、ランニングで心も体も鍛えられ、仕事と家庭以外の心の拠り所ができた今ならミッドライフクライシスも怖くありません!
よくある質問(FAQ)


最後に、ミッドライフクライシス克服のためのランニングに関して、読者の方から寄せられそうな質問と回答をまとめます。
Q1:運動が苦手でも続けられる?
もちろん大丈夫です。ランニングは自分のペースで進められる運動なので、運動音痴の方や体力に自信がない方でも心配いりません。
最初はウォーキング主体でOKですし、走る速度も周りと競う必要は全くありません。
「ランニングはきついイメージ」を持つ人が多いですがむしろ「歩く」と「ゆっくり走る」の中間くらいの負荷のスロージョギングの方が効果が大きいです。
運動が苦手な人ほど、成果を焦らず習慣化を第一目標に「毎朝5分だけ外に出てみる」でも十分です。その積み重ねで徐々に体が慣れ、1か月後には「あれ、昔より動けるかも」と感じられるはずです。
Q2:忙しい平日に時間を捻出するコツは?
忙しい現代人にとって運動時間の確保は悩みの種ですよね。おすすめは朝の時間を活用することです。平日の朝30分だけ早起きすれば、そのまま運動時間に充てられます。
夜は仕事や家庭の予定が読めなくてランニングの時間を確保できたりできなかったりしますが、朝なら自分次第で時間を作れます。朝起きたらすぐウェアに着替え、そのまま外に出る段取りにしておくとスムーズです。
朝ランの継続のコツについてはこちらの記事も参考にしてください。
「朝はどうしても弱い…」という方は、お昼休みや通勤の行き帰りに運動を組み込む工夫もあります。例えばお昼に職場の周りを15分散歩したり、一駅分歩いて帰宅するだけでも立派な運動です。
テレワークの日なら、業務開始前や夕方のオフに30分ジョギングを入れてもいいと思います。
ポイントはスキマ時間を積み上げる発想です。週に3回、各20分走れば合計1時間になります。5分×4回/日でも週5日で合計100分です。細切れの積算でも効果はちゃんと現れます。
忙しい中でも「ゼロよりマシ!」の精神で少しでも体を動かす習慣を続ければ、きっと隙間時間でランニングを積み上げることができると思います。
Q3:雨の日や出張中はどうする?
屋外でのランニングは天候に左右されます。雨の日は無理せずプランBに切り替えましょう。体を目覚めさせるためにストレッチやヨガなど軽めのエクササイズを行うのもありだと思います。割り切って休足日にしてしまうのも手です。
出張や旅行中は「荷物も増えるしさすがに走らないだろ」と思う方もいるかもしれませんが、出張や旅行中はランニングを楽しむチャンスです。旅ランとして早朝にいつもと違う街並みや景色の中を走ると、それ自体が楽しいですし新しい発見にあふれています。
出張中は生活リズムが乱れがちなので、無理せずウォーキングに切り替えるのも有効です。歩いて街を散策すればリフレッシュにもなります。
大事なのは「走れなかった…」と落ち込まず、代替手段を柔軟に取ることです。雨の日も出張時も完璧主義にならず、「できる範囲で体を動かす」「難しければ休んでOK」と自分に許可を与えてください。
長い目で見れば多少の中断は全然問題ありません。むしろ心理的なストレスになって継続が中断してしまうリスクの方が損失は大きいです。
追い込みすぎず気楽に楽しんで継続しましょう!
まとめ:最初の一歩は“5分の早歩き”から


ミッドライフクライシスは誰にでも起こり得る心の揺らぎですが、向き合い方次第で成長の転機にもなります。ランニングは心身両面から中年の危機克服を後押ししてくれます。
何より「自分にも変化を起こせた」という成功体験が無力感を打破し、次のチャレンジへの意欲につながります。
忙しい40代・50代でも、朝の5分早歩きから始めてOK。ゼロをイチにする小さな一歩が、心の停滞を抜け出す大きな一歩になります。
ぜひ小さな一歩を踏み出していきましょう!
本ブログは「40代から楽に楽しくはじめるランニング」をコンセプトに運営しています。「最近運動不足だなぁ」と感じる方はチャンスです!こちらの記事からランニングをはじめて、引き締まった走れる体を目指してみませんか?


